朝鮮時代の女性の髪型

韓国の歴史ドラマをはじめて見た人は、既婚女性の髪型に目を奪われるかもしれません。
編みこんだ髪を乗せたこの髪形をオンジュンモリ(얹은머리)と呼びます。
直訳すると「乗せ頭」です。
この絵は妓女(キニョ:기녀)たちの様子を描いたものですが、このように自分の髪を伸ばして盛っていました。
朝鮮王朝中期から後期にかけて添え髪(タリ:다리)といわれる人毛の編み髪を乗せたり、オヨモリ(어여머리)を乗せるようになりました。
この髪型の総称を加髢(カチェ:가체)と呼びます。

オヨモリ(어여머리)は中殿をはじめ堂上官(タンサングァン:당상관)の夫を持つ外命婦(ウェミョンブ:외명부)、至密尚宮(チミルサングン:지밀상궁)にのみ許されてました。
身分の高い婦人の盛髪と認識してください。
オヨモリにつける飾りをトルジャム(떨잠)といいます。
頂点は蝶形、左右は円形を使うことが多いです。
動くたびに金糸で作ったバネの装飾が動きます。
オヨモリの飾りで赤いものは(ソムジョクトゥリ솜족두리)という冠です。
その大きさや装飾がエスカレートしていくことに 業を煮やしてカチェ禁止令を出したのが、英祖21年(1756年)、のちにその孫の正祖(イ・サン)の御世、正祖12年(1778年)に加髢申禁事目(カチェシンクムサモク:가체신금사목)として、正式に法制化して禁止しました。

この事実を基に考えてみると、第19代朝鮮王粛宗(スクチョン)とトンイの子である第21代英祖(ヨンジョ)が禁止したカチェを、このドラマで見られないのはおかしな話ですよね?
イ・ビョンフン監督が女優の首の負担を考えて簡素なチョクジンモリ(쪽진머리)/チョンモリ・チョクモリ(쪽머리)を選択したそうです。
当時も重さで首を痛める女性が少なからずいたようで、実際、婚礼の時にカチェにより首の骨を折った新婦の話を聞いて、英祖が禁止に踏み切ったとのエピソードが残されています。
※一説には、主演女優のハン・ヒョジュさんにカチェが似合わなかったからだとか。
個人的にも似合わないと思います(笑)
上のハン・ヒョジュの写真での髪型は正式にはチョプチモリ(첩지머리)といいます。
朝鮮後期の婦女子は礼装の際、人毛と銅などの金具で作った簡素な飾り疊地(チョプチ:첩지)とカンザシでで髪形を整えています。
式典用

中殿(赤い衣装)の式典用髪型はテス(대수)といいます。
グレーの衣装を着た尚宮の一見プラスチックに見える髪型はトクジモリ:떠구지머리/クンモリ:큰머리)です。

礼装用のオヨモリ(어여머리)の上にトグジ(떠구지)を乗せているためこう呼ばれています。
トグジは実際の素材は木で、髪のように彫刻し黒塗りしています。
下側に穴が2つ開いており、そこにかんざしを挿します。
※日本版ウィキペディアの「トンイ」の記載と韓国の公式サイトで、役職の名前や品階に差がありました。
ウィキペディアの記載者のミスか、ドラマのストーリーが進行したことによる公式サイトの記載変更があったのかが定かではないため、公式サイトの記載に順じています。
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